ボルボS60に興味を持っているけれど、その価格の安さに少し戸惑っているかもしれませんね。安全性やデザイン性に優れたボルボが、なぜこれほど手頃な価格で手に入るのか。そこには、セダン市場全体の動向や、ブランドならではの立ち位置が関係しているようです。
しかし、ボルボ公式YouTubeの社員へのインタビュー動画を見ると、S60は「人気薄のセダン」といった一般的な認識とは裏腹に、その「販売台数少ない」状況や「中古在庫多い」現状にも関わらず、社内では高い評価を得て「人気No.1車種」となっているようです。これは、S60が持つ独自の魅力、例えば、運転のフィーリング、希少性、特徴的なデザインなどが、ワゴンにはない特別な価値として認識されているからかもしれません。
この記事では、ボルボS60がなぜ安いのか、その理由を深く掘り下げていきます。市場の「不人気」や「需要と供給バランス」といった客観的なデータに基づきながら、購入後に「後悔」しないためのポイント、「リセールバリュー」の実態、「故障リスク」や「維持費」といった現実的な問題まで解説します。さらに、「ライバル比較」を通じてS60の本当の価値を探り、この動画で語られるS60の「購入の狙い目」も見えてくるかもしれません。
この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
- S60が安価で取引される市場の背景
- 購入前に知っておくべき維持費や故障のリスク
- 競合するドイツ車との客観的な比較
- 後悔しないための賢い購入タイミングや選び方
なぜ安い?ボルボS60の価格を左右する市場での評価

- 人気薄のセダンという立ち位置
- 不人気と言われる理由を解説
- 販売台数が少ないことの影響は
- 中古車市場の需要と供給バランス
- 気になるリセールバリューの実態
- 中古在庫が多いという噂は本当か
人気薄のセダンという立ち位置

ボルボS60の価格について考えるとき、まず理解しておきたいのが、現在の自動車市場におけるセダンというカテゴリー全体の立ち位置だと思います。近年、世界的にSUVの人気が非常に高まっています。
広い室内空間や使い勝手の良さ、アクティブなイメージが多くの人に支持されているんですね。この大きな流れの中で、セダンは少しずつ「人気薄」のカテゴリーになっているのかもしれません。
かつては自動車の王道だったセダンですが、今はSUVやミニバン、そしてワゴンにもその座を譲っているような状況です。これはボルボに限った話ではなく、多くのメーカーで同じような傾向が見られます。そのため、セダンというだけで、需要がSUVやワゴンほど高くなくなり、結果として中古車市場での価格が落ち着きやすい、という背景があるように思います。
ただ、このような状況だからこそ、S60はワゴンやSUVでは味わえない、セダン特有の安定した走行性能や洗練されたスタイリングで、一部のドライバーには熱烈に支持されているようです。
不人気と言われる理由を解説

ボルボS60が「不人気」と言われることがあるとすれば、それにはいくつかの理由が考えられそうです。
一つは、競合の存在が大きいかもしれません。S60が属するDセグメントのセダン市場は、メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズ、アウディ A5といった、いわゆる「ドイツ御三家」が非常に強い力を持っています。
これらのブランドは、スポーティーな走行性能や長年かけて築き上げてきた高級なイメージで、多くの固定ファンを抱えています。そのため、セダンを選ぼうと考えた多くの人が、まずこれらのドイツ車を候補に挙げる傾向があるのです。
また、ボルボというブランドが持つ、長年のイメージも関係しているかもしれません。もちろん、現在のボルボのデザインは「トールハンマー」と呼ばれるヘッドライトに象徴されるように、非常に洗練されていてスタイリッシュです。しかし、特に上の世代の方々の中には、かつての四角い「850」や「240」のイメージから、「安全だけれど、少し地味でおとなしい」と感じる人もいるようです。
しかし、前述のボルボ社員へのインタビュー動画によると、S60は社内アンケートで「一番好きな車種」の1位になるほどの人気を集めていました。
その理由としては、「アクセルを踏んだ時の加速感やスピードの乗り、足回りのしっかりしたフィーリングが自分に合っている」[09:19]、「ボルボでセダンを選ぶ人が少ないので希少性があり、良い」[15:33]、「コノ字型という印象的なテールランプのデザインが好き」[16:36]といった意見が挙げられていました。
日々ボルボに触れている専門家たちだからこそ分かる、S60の特別な価値が浮き彫りになっています。
これらの声から、一般市場の「不人気」という評価とは異なる、S60ならではの深い魅力が存在することが伺えます。特に、ワゴンやXCシリーズなどのSUVにはない走行性能やデザインの個性が、玄人には高く評価されていると言えるでしょう。
販売台数が少ないことの影響は
ボルボS60の日本国内での販売台数は、正直なところ、ライバルであるドイツ車や、同じボルボのSUVモデル(XCシリーズ)、ワゴンモデル(Vシリーズ)と比較すると、少ないのが現状です。
例えば、日本自動車輸入組合(JAIA)の統計を見ると、Cクラスや3シリーズは常に上位にランクインしていますが、S60がトップ20に入ることは稀です。販売台数が少ないということは、街で見かける機会も少なくなり、多くの人にとっての知名度や馴染みやすさに影響を与える可能性があります。
この「販売台数が少ない」という事実が、中古車市場での価格形成に影響を与えます。台数が少なければ希少価値が出そうですが、自動車の場合は少し違うようです。
むしろ、市場での注目度が上がりにくく、積極的に探す人が限られるため、価格が上昇しにくい傾向にあると考えられます。これが、S60が比較的手頃な価格で取引される一因になっているのかもしれません。ただ、逆に言えば、これはS60の希少性を高め、特別な一台を求めるユーザーにとっては魅力的なポイントになるかもしれませんね。
中古車市場の需要と供給バランス

中古車の価格を決定づける最もシンプルな原則は、「需要と供給のバランス」です。ボルボS60の場合、このバランスが現在の「安さ」に直結していると言っていいでしょう。
まず供給面ですが、S60はボルボが法人向けに行っているリース契約の車両が、契約期間満了後に中古車市場へ流れてくるケースが多く見られます。これらの車は定期的にメンテナンスされている上質な車両であることが多く、中古車市場に安定した供給をもたらしています。加えて、ボルボ正規ディーラーが展開する認定中古車「SELEKT」としても、状態の良い車両が常に市場に存在します。
一方で需要面ですが、前述の通り、セダン市場全体の縮小や強力なライバルの存在があります。このため、S60を積極的に指名して探す人の数は、Cクラスや3シリーズ、あるいは同じボルボのV60ワゴンに比べると、どうしても限られてしまいます。特にファミリー層では、ワゴンのV60が持つ広い荷室や実用性が魅力的に映ることが多く、S60は選択肢から外れやすいのかもしれません。
つまり、S60は「安定した供給」があるのに対し、「需要がそれを上回らない」という状況が続いているわけです。だからこそ、中古車市場での価格は高騰しにくく、購入を検討している人にとっては非常に魅力的な価格帯で推移しています。これは、S60が持つ本質的な価値と市場価格の間に、良い意味でのギャップが生まれている状態と言えるでしょう。
気になるリセールバリューの実態

リセールバリュー、つまり車を売却するときの価値は、車を所有する上での総コストに関わる重要な要素だと思います。
ボルボS60のリセールバリューは、残念ながら高いとは言えないのが実情のようです。一般的に、3年後のリセールバリューは40%〜50%程度、5年後には30%前後に落ち着くことが多いという情報があります。これは、同クラスのドイツ車や、人気の高いボルボのSUVやワゴンモデルと比較すると、少し低い水準かもしれません。
リセールバリューが低くなる要因は、これまで述べてきた市場での立ち位置や需要の動向が大きく影響しています。新車で購入した人にとってはデメリットに感じられるかもしれませんが、逆に中古車として購入する側から見れば、これは大きなメリットになります。品質の良い車を、値下がりした手頃な価格で購入できるチャンスがある、ということですからね。特に、セダンならではの走行性能やデザインを重視する方にとっては、コストを抑えてその魅力を手に入れる良い機会になるかもしれません。
中古在庫が多いという噂は本当か
「ボルボS60は中古在庫が多い」という話ですが、これはある意味で本当かもしれません。
大手中古車情報サイトで検索してみると、常に全国で数百台規模のS60が登録されています。これは、Cクラスや3シリーズの数千台規模の在庫に比べれば少ないですが、S60の販売台数を考えると、市場には十分な数の中古車が出回っていると言えるでしょう。
特に、ボルボが積極的に展開している認定中古車「SELEKT」は、品質の良い車両が豊富に揃っています。初度登録から数年以内の高年式・低走行の車両が多く、選択肢が広いのは嬉しいポイントです。
供給が安定しているため、購入者は複数の車両を比較検討し、自分に合った一台をじっくり選ぶことができます。これも、買い手にとっては有利な状況と言えるかもしれませんね。ワゴンモデルと比較して在庫数は少ないものの、選択肢は十分にあると考えられます。
ボルボS60はなぜ安い?購入前に知るべき注意点

- 購入後に後悔しないためのポイント
- 考えられる故障リスクについて
- 具体的な維持費はどのくらいか
- 競合となるライバル比較
- なぜ安いボルボS60か、購入の狙い目を総括
購入後に後悔しないためのポイント
ボルボS60の購入で後悔しないためには、いくつか押さえておきたいポイントがあると思います。
まず大切なのは、なぜこの車が安いのか、その理由をしっかり理解しておくことです。市場での人気やリセールバリューが理由であって、車の基本的な性能や安全性が低いわけではない、ということを知っておくだけで、納得感が違うはずです。特にS60は、ワゴンモデルと比べて荷室の積載性で劣るものの、低重心でセダンならではのシャープな走行性能やスタイリングが特徴です。この点を自身のライフスタイルと照らし合わせ、納得できるかどうかが重要になります。
次に、可能な限り試乗をしてみることをお勧めします。ボルボならではの穏やかで安定した乗り心地や、シートの出来の良さは、実際に体験してみないと分かりにくい部分です。特に、ライバルとなるドイツ車やボルボのワゴンモデルと比較試乗してみると、S60の持つ独特の魅力や、自分との相性がより明確になるかもしれません。
そして、中古車を検討する場合は、整備記録をしっかり確認することが鍵となります。正規ディーラーで定期的にメンテナンスされてきた車両であれば、より安心して乗ることができるでしょう。
考えられる故障リスクについて

ボルボはかつて「壊れやすい」というイメージがあったかもしれませんが、近年のモデルでは品質が大幅に向上しているようです。ただし、輸入車である以上、国産車と同じ感覚でいると想定外のトラブルが起きる可能性はゼロではありません。
S60でよく聞かれる故障リスクとしては、電子制御システムに関するトラブルが挙げられます。現代の車は多くのセンサーやコンピューターで制御されているため、この部分に不具合が出ると修理費用が高額になることがあります。また、一部の年式のモデルでは、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の不具合が報告されたこともあったようです。
エンジンやトランスミッションといった主要な機関については、定期的なオイル交換などのメンテナンスが非常に大切です。特に、多段化されたオートマチックトランスミッションは、ATフルードの管理が重要になると言われています。ボルボの整備士の経験談によると、ATF(オートマチックトランスミッションフルード)は「交換不要(lifetime)」と謳われているモデルでも、実際には定期的な交換でトラブルを大幅に減らせるとのことです。
購入を検討する際は、信頼できる販売店を選び、保証がしっかり付いている車両を選ぶことが、万が一の故障リスクに備える上で有効な手段だと思います。
具体的な維持費はどのくらいか

ボルボS60を所有する上での維持費は、国産の同クラスセダンよりは少し高め、ドイツのライバル車と同程度と考えておくと良いかもしれません。
具体的な内訳としては、以下の項目が考えられます。
項目 | 年間費用の目安 | 備考 |
自動車税 | 36,000円~43,500円 | 総排気量によって変動(1.5L~2.0L) |
自動車重量税 | 16,400円/年 | 車検時に2年分(32,800円)を納付 |
自賠責保険料 | 約10,000円/年 | 車検時に2年分(20,010円)を納付 |
任意保険料 | 50,000円~100,000円 | 年齢、等級、車両保険の有無で大きく変動 |
車検費用 | 100,000円~200,000円 | 交換部品によって変動。ディーラーか民間工場かで差が出る |
燃料代 | 約150,000円 | 年間1万km走行、燃費10km/L、ガソリン150円/Lで計算 |
メンテナンス費用 | 30,000円~ | エンジンオイル、タイヤ、その他消耗品の交換費用 |
これらの合計から、年間の維持費は少なくとも30万円以上は見ておく必要があるかもしれません。特に、部品交換が必要になった場合、パーツは基本的に本国からの取り寄せとなるため、国産車に比べて高価で時間もかかる傾向があります。この点は、あらかじめ理解しておくと良さそうです。
競合となるライバル比較
ボルボS60の購入を検討する際、多くの場合、比較対象となるのはドイツのプレミアムセダンだと思います。ここでは、代表的なライバルであるメルセデス・ベンツ CクラスとBMW 3シリーズとを比較してみます。
項目 | ボルボ S60 | メルセデス・ベンツ Cクラス | BMW 3シリーズ |
コンセプト | 安全性、北欧デザイン、快適性 | 高級感、先進技術、ブランド力 | 走行性能、スポーティーさ、「駆けぬける歓び」 |
デザイン | 洗練されたスカンジナビアンデザイン | エレガントで格式高いスタイル | スポーティーでダイナミックな造形 |
乗り心地 | 穏やかで疲れにくい、シートの評価が高い | 重厚感があり、しなやかな乗り味 | しっかりとしており、路面状況が伝わりやすい |
安全性能 | 世界トップクラスの先進安全・運転支援機能を標準装備 | 高度な安全運転支援システムを搭載 | ドライビングアシスト機能が充実 |
中古車価格 | 比較的安価で、コストパフォーマンスが高い | 高値安定傾向にある | S60よりは高いが、Cクラスよりは手頃な場合も |
このように比較すると、それぞれの車が持つ個性や強みがよく分かります。
もし、ブランドのステータスや高級感を重視するならCクラス、運転そのものの楽しさやスポーティーな走りを求めるなら3シリーズが魅力的に映るかもしれません。
一方で、突出した安全性、他人とは違う選択肢、そして穏やかで質の高い移動空間を求めるのであれば、ボルボS60は非常に賢い選択肢になると考えられます。特に、ワゴンのV60と比較すると、S60はより低重心で洗練されたセダンフォルムが特徴であり、独自の走行フィールやスタイリッシュさを追求するドライバーにとっては、明確な優位性を持つでしょう。最終的には、どの価値観を最も大切にするかで、選ぶべき一台が決まってくるのだと思います。
なぜ安いボルボS60か、購入の狙い目を総括

この記事では、ボルボS60がなぜ安いのか、その理由と購入のポイントについて解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめてみます。
- ボルボS60が安い主な理由は車の性能ではなく市場での立ち位置にある
- 世界的なSUV人気によりセダン市場全体が縮小傾向
- 強力なドイツ車ライバルが市場を席巻している
- ボルボのブランドイメージが「安全だが穏やか」と見られがち
- 日本での販売台数がライバルに比べて少ない
- 販売台数の少なさが中古車市場での価格上昇を抑制
- 中古車の供給は安定しているが需要がそれを上回らない
- 結果として需要と供給のバランスから価格が落ち着いている
- ボルボ社員へのインタビュー動画ではS60が「一番好きな車種」の1位だった
- S60はワゴンにはない独自の走行フィール、希少性、デザイン性で高く評価される
- リセールバリューはドイツ車や人気SUVに比べ低い傾向にある
- リセールが低いことは中古車購入者には大きなメリットとなる
- 中古車の在庫は十分にあり選択肢は豊富
- 購入後の後悔を避けるには安い理由の理解と試乗が大切
- 近年のモデルは品質が向上しているが電子系のトラブルには注意
- 維持費はドイツ車と同程度で年間30万円以上が目安
- 安全性と快適性、そしてセダンならではの魅力を重視するならS60は非常に賢い選択肢である
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